分離膜コラム
濃縮・精製とは
濃縮について
濃縮とは液体から水分を取り除き、特定の物質の濃度を高める操作のことです。
水分を減らすことで輸送や保管が容易になります。
膜を用いた濃縮のメリットとしては加熱が不要であり、成分の変性が起こりません。
膜を用いた濃縮事例
・果汁の濃縮
・タンパク質の濃縮
・菌体の濃縮
・酵素の濃縮
精製について
精製とは特定の物質から不純物や異なる性質をもつ物質を取り除く操作のことです。
膜を用いた精製操作の代表例としてダイアフィルトレーション法が挙げられます。
ダイアフィルトレーションとは
ダイアフィルトレーション(DF)とは、原液タンクに透過液量と同量の液(溶媒)を加え、連続的に低分子物質を膜透過させる方法です。
DFの主な目的は、高分子物質の高純度精製・脱塩・純水置換などが知られています。
当社はこの技術を分離膜法で活用し、自動化された効率のよい精製システムをご提案しています。
限外ろ過膜(UF膜)で適用するこで、塩類やイオン化物質などを透過液側に排出していき、UF膜を透過しない大きなサイズの対象物質の純度を高めます。
DF法に分離膜を用いてシステム化することで、原液の精製が完了した後に、同じシステムでそのまま濃縮工程を開始することができ、製造工程全体を効率化することができます。

膜を用いたダイアフィルトレーション事例
・水溶性ポリマーの精製・濃縮
・金属ナノ粒子の精製・濃縮
・顔料分散体の精製・濃縮
・エマルジョンの精製・濃縮
・機能性食品成分の精製・濃縮
機能性食品成分の精製処理について
多糖類は水溶性で塩や低分子不純物と一緒に抽出されやすいため、脱塩工程が非常に重要です。
中空糸型UF膜を用いることにより、短時間で効率的な脱塩処理が可能です。
ここでは一般的に中空糸型では難しいとされている「高粘度な液」の脱塩事例をご紹介します。
ダイアフィルトレーション法は精製行程中に加水を行います。
粘性の高い液でも希釈された状態からろ過が開始されるため、粘性が低い状態から処理が可能です。

今回の事例ではダイアフィルトレーション法により、電気伝導度を1/100以下、pHを中性域にすることを目的としています。


多糖類の分子量は40万のため、分画分子量15万のPES膜で14回の精製を繰り返すことで、目標の塩濃度まで精製することができ、pHも中性域にすることができました。