分離膜コラム
MOLSEP® チューブラー型膜モジュール活用の7つのシナリオをご紹介
MOLSEP® チューブラー膜による排水回収・資源回収ソリューション
チューブラー膜だからこそ実現できる、従来の膜では実現できなかった活用シナリオをご紹介します。
(本事例は、当社過去知見に基づくものであり、実際の適用可否は試験等による確認が必要となります)
はじめに
近年、製造業における環境規制の強化やカーボンニュートラルへの対応、生産コスト削減の要求はますます高まっています。
また、工場の排水処理においては、処理の安定性・省スペース化・設備更新コストの抑制など、多様な課題が顕在化しています。
当社のチューブラー膜は、以下の特長により、これらの課題に対して幅広いソリューションを提供します。
製品の特長(チューブラー膜紹介ページ)
チューブラー膜モジュールの構造と特長|分離膜コラム | ダイセン‧メンブレン‧システムズ株式会社
①独自の形状 × UF/NF/RO のラインナップ
★ROに「PA膜」タイプが新たに登場し、幅広い排水・廃液に適用可能となります。(*)
②前処理不要 &省スペース な膜設備
高濁質・高粘性排水に直接適用可能なため、コンパクトな膜設備構成を実現
③従来膜の限界を超えた濃縮運転を実現
スポンジボール洗浄により閉塞を可逆的に洗浄しながら運転ができるため、スケール限界を超えた膜分離の検討が可能
④柔軟な設備構成
膜本数の増減・後付けが容易な仕様であるため、既設設備への追加増設や能力拡張用に最適
*2027年度初に正式上市予定。現状、試験用モジュール等による適用試験は対応中
本資料では、7つの活用シナリオを通じて、チューブラー膜が提供するユニークな利用シーンを具体例を通じてご説明します。
活用シナリオ1「チューブラー膜による廃液減容で、操業コストとCO2を大幅削減」
活用シナリオ2「シリカ微粒子排水の高濃度濃縮による資源回収と水資源再利用の実現」
活用シナリオ3「難凝集排水処理をチューブラー膜処理に変更したことによる安定操業」
活用シナリオ4「スクラップ&ビルドに際して、仮設排水処理としてのチューブラー膜設備の導入」
活用シナリオ5「既設RO設備へのチューブラー膜の簡易追設による水回収率向上」
活用シナリオ6「熱をかけられない物質をチューブラー膜で非加熱濃縮」
活用シナリオ7「バイオリアクターとチューブラー膜の組合せによる、生物反応効率向上」
活用シナリオ1「チューブラー膜による廃液減容で、操業コストとCO2を大幅削減」
背景と課題
化学関連産業のA社では、製造工程から発生する難処理性廃液を、従来、蒸気を用いた蒸発濃縮によって減容化することで、処理していました。(減容化後の濃縮液は産廃処理)
しかし、A社製品の需要増加により、生産量が増大するため、以下の課題が顕在化しました。
①既存設備では、処理能力が超過するために新たな設備投資(蒸発濃縮設備追設)が必要
②仮に、設備投資をしたとしても、運転に伴う蒸気コストや廃棄物処理費用の増加の効率化の必要性
③蒸気の多量使用に伴うCO2排出量の増加(GHG Scope1・Scope2)の問題
解決策
チューブラー型RO膜を新たに導入し、既設蒸発濃縮の手前で事前に濃縮
蒸発濃縮の増設投資の代わりにチューブラー膜を導入し、膜濃縮により廃液を最初に大幅に減容する解決策により、既設蒸発濃縮設備はそのまま運用でき、廃液処理コストを大幅削減することができました。
これにより、設備の設置スペースに加え、蒸気使用量・廃棄物量の両面でもコスト削減に成功しました。
また、膜処理設備は、既存設備増設に比べて投資回収年度が短い事に併せて、追加・増設等も容易なため、今後のさらなる生産量増加にも、柔軟に対応できることや、膜処理設備はGHG面でも蒸発濃縮設備に比べて有利なことから、持続可能な操業にも繋がりました。

活用シナリオ2「シリカ微粒子排水の高濃度濃縮による資源回収と水資源再利用の実現」
背景と課題
半導体関連産業のB社では、製造プロセスの変更に伴い製造工程から発生するシリカ微粒子廃液の処理に悩んでいました。
凝集沈殿処理を行うには、非常に広いスペースと脱水機の拡張等も含め必要となることに加え、本来は膜処理で水回収と資源回収を行いたいと考えていました。
しかし、従来の膜では、濃縮限界が限られており、B社のニーズに沿うソリューションはありませんでした。
解決策
チューブラー型UF膜を新たに導入し、通常UF膜とチューブラーUF膜の二段濃縮を実現
MOLSEP® 膜シリーズを組み合わせ、一段目は高濃縮が可能な中空糸型UF膜モジュールで排水を濃縮(透過液は水回収)し、一段目の濃縮液をチューブラー膜モジュールでさらに濃縮し、通常の膜濃縮の限界を超えた大幅な減容を実現する解決策により、製造排水のほとんどを水回収すると共に、高濃縮廃液の減容化ができました。
これにより、設備のフットプリントの大幅な削減と薬品使用量や廃棄物量の両面でも大幅なコスト削減に成功しました。
また、本膜処理設備は、追加・増設等も容易なため、今後のさらなる生産量増加にも、柔軟に対応できることから、継続的な追設等も続き、B社にとって欠かせない設備となりました。

活用シナリオ3「難凝集排水処理をチューブラー膜処理に変更したことによる安定操業」
背景と課題
製造業のC社では、製造プロセスから発生する排水処理の運転管理に悩んでいました。高濃度廃液を凝集沈殿処理していましたが、プロセスの条件毎に排水性状が異なることにより凝集条件が大きく異なるため、日々運転管理員が手間をかけて薬注条件や運転条件を見直さざるを得ませんでした。
ただし、今後働き方改革等の流れから、排水処理の属人化を防ぐことと、万が一の環境事故防止のために、人手による排水処理を自動で安心できる処理に切り替えたいと考えていました。
解決策
チューブラー型RO膜を新たに導入し、自動膜濃縮処理を実現
難処理性の排水をそのままチューブラー膜モジュールで処理し、処理水はそのまま下水道放流、濃縮液は高濃度に濃縮し大幅な減容を実現する解決策により、人手をかけない自動排水処理の実現ができました。
従来の膜処理では、膜処理への供給前にさまざまな前処理が必要でありましたが、チューブラー膜は前処理が不要なため、シンプルな設備構成が実現できます。
これにより、排水処理の属人化防止と設備のフットプリントの大幅な削減が実現できました。ただし、排水処理コストは従来より高額となりましたが、排水処理専用の社員を確保し続けるさまざまな面のコストと比較・勘案し切替をしました。
C社はこれにより、本業の製造に集中できる環境を確保でき、安心した製造を継続できることとなりました。

活用シナリオ4「スクラップ&ビルドに際して、仮設排水処理としてのチューブラー膜設備の導入」
背景と課題
製造業のD社では、老朽化した排水処理の更新に悩んでいました。新たな排水処理設備を設置したのち、既設排水処理の撤去を行いたかったのですが、それを実現するスペースの余裕がありませんでした。
そこで、仮設排水処理の導入を検討しましたが、工場稼働中の水質を適切に処理可能な仮設設備となると、本設同等の規模となってしまうことから、自社に適した設備が無い事に困っていました。
解決策
チューブラー型RO膜を仮設で導入し、既設排水処理の部分バックアップを実現
前処理不要なチューブラー膜モジュールで排水処理の一部分の工程を処理し、未使用とした既設設備を撤去更新することで、既存スペースを最大限利用した切替工事の実現ができました。
チューブラー膜は前処理が不要なため、既設排水処理の代替が実現できます。これにより、仮設としての運用を通じたスクラップ&ビルドが実現できました。切替えに際しては膜本数の追加・削減および膜交換が容易なチューブラー膜の特徴を最大限活用しました。
D社はこれにより、新たな土地取得等をせず、安心した製造を継続できることとなりました。

活用シナリオ5「既設RO設備へのチューブラー膜の簡易追設による水回収率向上」
背景と課題
電子関連製造業のE社では、工場内の水バランスに悩んでいました。純水製造用の工水の不足と共に、下水道放流水量についても増加しているなか、これらの課題を解決するため既設のRO設備の水回収率向上を行いたかったのですが、スケール分散剤併用でもすでにRO濃縮水のシリカ濃度が限界に達しており、回収率向上の余地がありませんでした。
工場全体の水処理設備を大幅に見直すとなると、費用面及びスペース面で、非現実的であると共に、スケール分散剤の多量使用により、RO濃縮水が排水処理に流入時に、処理が不安定になる悩みもありました。
解決策
チューブラー型RO膜をRO濃縮水回収設備として導入し、スケール分散剤増加なしで水回収率向上を実現
スポンジボール洗浄が可能なチューブラー膜モジュールでシリカスケールを物理的に洗浄可能なRO膜処理を実現し、既設RO設備周りの回収率を簡易に向上させることで、工場全体の水バランス問題を解消しました。
チューブラー膜は、既設RO設備周りの遊休設備に設置し、RO濃縮水の残圧を有効活用することで、設備面・ランニングコスト面でも簡易な増設として運用できます。
また、膜本数の追加・削減および膜交換が容易なチューブラー膜の特徴もあり、今後操業状況に応じて、柔軟に運用の変更が可能となりました。
E社はこれにより、簡易な追設で工場全体の水バランスの悩みを解消できることとなりました。

活用シナリオ6「熱をかけられない物質をチューブラー膜で非加熱濃縮」
背景と課題
エレクトロニクス素材関連のF社では、製品の濃縮(脱水)方法に悩んでいました。自社製品を次工程の前に濃縮すれば、製造全体で大きなメリットが出るものの、製品は加熱等を行うと品質面でNGであるため、膜処理等の適用を調査しました。
ただし、同製品は夾雑物等も含むことから、従来の膜処理では流路閉塞等が起こるため、適用が困難でした。
その中で、流路閉塞が起きずに製品を濃縮できるRO膜として、チューブラーRO膜の存在を新たに知りました。
解決策
チューブラー型RO膜を適用し、塩類濃度が高い製品の濃縮(脱水)を実現
スポンジボール洗浄が可能なチューブラー膜モジュールで流路閉塞物発生時も物理的に洗浄可能なRO膜処理を実現し、製品の安定的な濃縮(脱水)を実現しました。
チューブラー膜は、スポンジボール洗浄に加え、定期的な洗浄も可能な膜素材を選定することで、安定した運用ができます。
また、膜本数の追加・削減および膜交換が容易なチューブラー膜の特徴もあり、今後操業状況に応じて、柔軟に運用の変更が可能となりました。
F社はこれにより、製造全体で大きなメリットが出せることとなりました。

活用シナリオ7「バイオリアクターとチューブラー膜の組合せによる、生物反応効率向上」
背景と課題
ライフサイエンス関連のG社では、バイオリアクターの反応効率に悩んでいました。バイオリアクターであるため、反応槽内の菌体濃度を一定程度高めたいなか、高濃度菌体を含む液体を高精度で分離する技術が無い点に悩んでいました。(従来の膜処理では流路閉塞等が起こるため、適用が困難でした。)
その中で、高濃度菌体も含む液体を濃縮できるUF膜として、チューブラーUF膜に着目しました。
解決策
チューブラー型UF膜を適用し、高濃度菌体や塩類濃度を含む液体の濃縮と水分離を実現
スポンジボール洗浄が可能なチューブラー膜モジュールで高濃度菌体を物理的に洗浄可能なUF膜処理を実現し、膜濃縮水をバイオリアクターに返送することで、高濃度菌体の保持を実現しました。
また、膜交換が容易なチューブラー膜の特徴もあり、今後操業状況に応じて、柔軟に運用の変更が可能となりました。
G社はこれにより、製造プロセスで大きなメリットが出せることとなりました。
★なお、本シナリオについて、チューブラー膜は日本の多くの自治体のし尿処理場で同様の活用がなされているほか、近年では万博施設での利用をはじめ、メタン発酵との組合せ事例も増えており、製造プロセスだけでなく、排水処理等にも活用可能なシナリオです。

シナリオ紹介について
チューブラー膜を活用した7つのシナリオをご紹介しました。本シナリオは、当社が過去に経験した事例を組合せたことに加え、一部わかりやすくするために、補足等を入れている内容であるため、特定の事業者や顧客を指すものではありませんので、予めご了承下さい。
(各お客様への実際の適用可否は、試験等による判断となります。)